メインコンテンツにスキップ

~静寂と光が織りなす特別な夜~ 国宝 久能山東照宮の夜間特別拝観「光彩-IRODORI-」へ。

秋の深まりを感じる今日のこの頃、静岡市にある国宝・久能山東照宮で開催されている夜間特別拝観「光彩-IRODORI-」へ行ってきました。
久能山東照宮の夜間特別拝観は毎年定期的に行われていますが、「光彩-IRODORI-」は、昨年から始まったイベントで、今年は演出がさらに進化しているとのこと。
昨年も美しかった記憶がありますが、今回はより一層磨きがかかった光の世界を体感することができました。
今回は、夜間拝観ならではの雰囲気やアクセス面での注意点、そして特に印象深かった見どころについてご紹介します。

夜間拝観へのアクセスと受付の流れ

夜間特別拝観「光彩-IRODORI-」を訪れる際、確認しておきたいのが「アクセス方法」です。

日中の久能山東照宮は、山下の表参道(1,159段の石段)から登るルートと、日本平山頂からロープウェイで渡るルートの2通りがありますが、夜間拝観の入場口は「日本平ロープウェイ乗り場」のみに限定されています。
山下からの徒歩ルートからは入場できませんので、車で向かう場合は必ず日本平山頂の駐車場を利用してください。

日本平駅から乗車するロープウェイも、夜間拝観専用の運行となっており、定員や入場時間帯があらかじめ指定されたチケット制です。
1日あたりの人数が限られていることもあり、混雑しすぎず落ち着いて移動できる工夫がされていました。

約5分間の空中散歩を経て久能山駅へ到着して階段を降り、久能山東照宮に到着です。

境内を彩る和の灯りと、静寂の空間

一歩境内へ足を踏み入れると、柔らかな光が足元や歴史ある建造物を優しく照らし出しています。
今回のテーマには「折り紙」や「和のあかり」が取り入れられているそうで、主張しすぎない繊細な光のデザインが周囲の豊かな自然や歴史ある木々に見事に調和していました。

日中の参拝では、絢爛豪華な社殿の色彩や駿河湾を見下ろす大パノラマに目を奪われますが、夜の参拝は全く別物です。
暗闇の中に必要な光だけが浮かび上がり、風の音や木の葉が擦れる音、自分たちの足音が心地よく響きます。

国宝に指定されている拝殿や楼門もライトアップされており、木彫りの細やかな装飾や朱塗りの美しさが闇の中で静かに際立っていました。
大げさな派手さではなく、建物の持つ歴史と威厳を引き立てるような絶妙な光加減で、いつまでも眺めていたくなるような空間が作られています。

境内は夜間で足元が見えにくい箇所もあるため、足元をを確認しながらゆっくり歩くのがおすすめです。

一番の感動。さらに深みを増した神廟へ向かう石垣のプロジェクションマッピング

境内を順路に沿って進み、拝殿で家康公にご挨拶した後、一番奥に位置する徳川家康公の墓所「神廟(しんびょう)」へ向かいました。
石段を登りつめた先に広がる神廟エリアは、境内の中でも特に神聖で静けさが満ちている場所です。

今回一番楽しみにしていたのが、神廟に向かう石段を彩るプロジェクションマッピングです。

去年訪れた際も光の演出には魅了されましたが、今年は表現の深みや映像の精度が明らかにバージョンアップしていました。
暗闇に佇む神廟の石造構造物に、静かに光の粒子や模様が重なっていきます。平和の象徴とされる「獏(バク)」のモチーフや、和の伝統的な文様が滑らかに揺らめき、まるで建物自体が静かに息づいているかのような感覚を覚えました。

派手な音や目まぐるしい光の明滅で驚かせるタイプではなく、歴史ある空間の尊厳を崩さない、非常に品のある映像演出です。
光が描き出す繊細なグラデーションと、神廟が持つ静寂とが溶け合い、時間を忘れて見入ってしまいました。
歴史ある文化財と現代の映像技術がこれほど自然に調和する空間は、なかなか味わえるものではありません。
 

下り(帰り)にも美しい光の演出

拝殿・神廟までの経路は、上り(行き)と下り(帰り)とで異なります。
上りは通常参拝時には閉じている正面の門に向かって階段を上りますが、下りは日枝神社を通り神楽殿の方向に下ります。
ここでも青色の獏の演出と、カラフルに彩られる徳川家の家紋「三つ葉葵」を見ることができます。

秋の夜長に、心落ち着く参拝体験を

神秘的な空間で心穏やかな時間を過ごし、再びロープウェイで日本平へと戻りました。

「光彩-IRODORI-」は、ただ単に暗い境内を明るく照らすライトアップではなく、久能山東照宮という場所が持つ歴史や「平和への祈り」といったメッセージを、光という現代の言葉で丁寧に表現した素晴らしいイベントです。
昨年よりバージョンアップした神廟へ向かう石段プロジェクションマッピングをはじめ、境内全体に漂う静かな熱量と美しさは、実際に現地に足を運んでこそ感じられる体験です。

開催期間は秋の夜間(9月~11月の指定日)となっており、これからは少し肌寒くなります。
これから行かれる方は、羽織るものを一着用意して、暖かくした上で訪れてみてください。

日常の喧騒から離れ、静かな光の中で心を落ち着かせる、そんな贅沢な秋のひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

【開催概要】
イベント名 国宝 久能山東照宮 夜間特別拝観「光彩-IRODORI-」
会場 久能山東照宮(静岡県静岡市駿河区根古屋390)
期間 2026年9月19日~11月29日の指定日
9月・10月:土日祝 11月:金土日祝
時間 18:00~21:00(最終入場20:00まで)
入場 日本平ロープウェイ乗り場からのみ(事前チケット制・時間帯指定あり)
※1日800名限定
備考 夜間は徒歩ルート(表参道石段)からの入場不可。
防寒対策と歩きやすい靴での参拝がおすすめです。