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なまこ壁とは?松崎町にあるなまこ壁通りを散策してみた

伊豆半島の南西部に位置する松崎町は、なまこ壁が印象的な港町。「なまこ壁」とは、漆喰を使用した日本伝統の壁塗りの様式のひとつ。そんななまこ壁が実用的にも、アートとしても街中で存在感を持つ松崎は見どころがコンパクトに集まり、町並みを楽しみながらのんびり散策するにはぴったりです。今回は、前編、後編に分けて見どころをご紹介します。
更新日: 2024年7月10日

1.まずは往時の面影を残す明治商家中瀬邸へ

暖簾にもある家紋「たちばな」は屋内の柱や鴨居にもあるので探してみて
インパクトのあるデザインが目を引く時計塔が目印の明治商家 中瀬邸へ。町営の駐車場隣で、伊豆半島ジオパークビジターセンターや観光案内、無料休憩所も兼ねているので、旅の起点に最適です。
重厚感と歴史を感じる建物

重厚感と歴史を感じる建物
明かり取りの天窓やレトロな鍵など細かい造りも興味深い

明かり取りの天窓やレトロな鍵など細かい造りも興味深い
【明治商家 中瀬邸】
住  所 松崎町松崎315-1
営業時間 9:00~17:00
 定 休 日  無休
料  金 無料
電  話 0558-42-3964(松崎町企画観光課)

2.鏝絵(こてえ)やレトロな建物が連なる街中アート

大正13年に建てられた時計塔。よく見ると「13時」の文字も見える変わったデザイン
一通り見学をしたらまち歩きスタート。シックな色が多かった中瀬邸とは対照的に、斬新な外観や内部のカラフルな色合いが目を引く時計塔から、カメラのシャッターはすでに連写状態。
町内を横断する那賀川にかかるときわ大橋

町内を横断する那賀川にかかるときわ大橋
30mにもおよぶなまこ壁の欄干がいかにも松崎らしい光景

30mにもおよぶなまこ壁の欄干がいかにも松崎らしい光景
実はこれ、なまこ壁に使用する「漆喰」を使った鏝絵(こてえ)なんです。なまこ壁を塗る左官職人が、発注した家主へちょっとしたお礼として装飾を施したのが始まりといわれる鏝絵。入江長八という鏝絵の名工を生み出したのも、ここ松崎町です。
実際に生活されている家もあるので注意して見学を

実際に生活されている家もあるので注意して見学を
ウォールアートのどこかにこっそりのぞいているネズミも

ウォールアートのどこかにこっそりのぞいているネズミも
かわいらしいタイルの壁やレトロな木枠のガラス窓など、昔ながらの家構えが多く残る町並みは、ついつい足を止めて見入ってしまうスポットが点在。そうかと思えば、ビートルズの有名なジャケット写真を思わせるポップな壁もあって、なかなか次の目的地に着けなかったりして。これぞ、歩いてこそのお楽しみです。

・なまこ壁をじっくり観察

これだけのなまこ壁が見られるのは松崎でも貴重
松崎を代表する風景といえば、なまこ壁通り。松崎出身で薬学者の権威・近藤平三郎の生家でもあるこの建物は、江戸末期に建てられ、状態の良いなまこ壁を間近に見学できる場所です。

3.長八美術館(浄感寺)で入江長八の思いがこもった『雲龍』を見上げる

お堂の四隅の丸柱から見るとそれぞれ表情が違うともいわれ、その見え方も人それぞれ
なまこ壁をたっぷり見学したところで、鏝絵の名工・入江長八が幼少期を過ごしたお寺があるというので見学してみることに。

入江長八は寺子屋でもあったこの浄感寺で学び、12歳で左官の親方に弟子入り、その後23歳で江戸へ行き狩野派の師のもとで絵を学ぶと同時に、彫塑の技も磨いたそう。それらの技法を漆喰芸術に応用することで長八ならではの芸術が創りあげられていったとか。

こちらで見学できるのは、本堂の天井にある白竜が描かれた『雲龍』。江戸末期に松崎大火で焼けてしまった浄感寺再建の際に、恩返しの気持ちで描いたという入江長八の作品です。
朝日が入るとき、夕日が入るときには、日の入り具合で龍の目の色がきらりと光るのもびっくり

朝日が入るとき、夕日が入るときには、日の入り具合で龍の目の色がきらりと光るのもびっくり
『雲龍』の左右の欄間に描かれた『飛天』。日の当たり具合により立体感が変化して見える

『雲龍』の左右の欄間に描かれた『飛天』。日の当たり具合により立体感が変化して見える
龍は雨雲を呼ぶとされ、「もう二度と火災が起こらないように」という長八の思いが感じられます。ほかにも、鮮やかな色合いや今なお再現できないようなさまざまな技法が盛り込まれた、長八渾身の作品の数々は必見です。
実はお寺の本堂入口にある石田半兵衛邦秀作の彫刻もすばらしい
見学の際には20分程度、作品やお寺について丁寧に案内をしてくれます。その説明を聞いてから作品を見ると楽しみ方は倍増。作品に込められた思いと技を知るほどに、感心しきりのひとときです。

【長八記念館(浄感寺)】
住  所 松崎町松崎234-1
営業時間 10:00~15:00
 定 休 日  不定休
料  金 入館料大人500円、中学生以下無料
電  話 0558-42-0481

・伊豆の長八美術館で入江長八の精巧な作品をじっくり鑑賞

建築界の芥川賞といわれる吉田五十八賞を受賞した建物は全国の左官職人の技の結集
松崎を愛した入江長八の作品をもっと見てみたい、と伊豆の長八美術館へも足を運んでみました。

1984(昭和59)年に、入江長八の功績と左官技術の魅力を伝えようと開館したこちらの美術館。建築家石山修武氏による印象的な建物には、全国から集まった腕自慢の左官職人がその技を惜しみなく提供したといい、建物だけでも一見の価値ありです。
左官の技法が、芸術作品にまで洗練されたことに驚く

左官の技法が、芸術作品にまで洗練されたことに驚く
館内には鑑賞用のルーペが用意されている

館内には鑑賞用のルーペが用意されている
館内には入江長八の代表作約50点を展示。町内の岩科地区にあった旧岩科村役場の内壁に描かれた作品を切り取ってきたものなどもあり、その精巧な造りはぜひルーペを手にじっくり鑑賞して。見れば見るほど、鏝で描かれているのが信じられないくらいです。

【伊豆の長八美術館】
住  所 松崎町松崎23
営業時間 9:00~17:00
 定 休 日  無休
料  金 入館料大人500円、中学生以下無料
電  話 0558-42-2540

4.前編まとめ

なまこ壁や入江長八の作品をたっぷり鑑賞でき、落ち着いた町並みにすっかり魅了されてしまいました。忙しい毎日を忘れさせてくれるノスタルジックな松崎さんぽ、まだまだ続きます。

今回紹介したスポットMAP