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茶と人と草の叡智が生んだ農業遺産 静岡の茶草場農法

茶、人、草。自然を生かし、自然に生かされた文化が世界農業遺産

静岡県の茶畑には、ほかの地域では見られない景観があります。緑が列を成す茶畑の傍らに、ススキやササの草むらが点在しています。この草むらから刈られた草は、茶畑の中に敷かれ、茶畑の土壌を肥えさせ、ひいてはお茶の味をより上質なものにするために活かされています。
近代的な農業がその土地の植生の幅を狭めがちだったことに対し、逆に生物の多様性を補完しているこの茶草場(ちゃぐさば)農法は、全世界でも登録地の限られた世界農業遺産に認定されました。
典型的な景観は掛川市などで見ることができます。人の介在によって自然と農のバランスが保たれる。それはひとつの文化的景観となっています。

静岡の茶草場農法とは

茶草場農法が世界的に評価されたのは、草刈場が生物多様性の保全に大きく貢献しているばかりではなく、農業と生物多様性を両立させ、しかもそれが質の良いお茶の生産に結びついているためでした。茶草場農法は、県中部、西部の川根本町、島田市、掛川市、菊川市、牧之原市にみられ、中でも掛川市の東山周辺、粟ヶ岳周辺が典型的な茶草葉農法の地域として知られています。茶草場農法によって保全される自然として、カワラナデシコなどの秋の七草やササユリが有名です。

東山周辺の茶畑
かっぽし
裁断の様子

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